姿勢を治せばスーツもカッコよく着こなせる

地主 恵亮（じぬし けいすけ）

もうすぐ三十歳の男性。写真では医者のような格好をしていますが、美大卒であり、医者でありません。

スーツが似合う大人はカッコいい。女性にもモテると聞く。スーツが似合う男性こそが、あらゆる意味での競争社会を制するのだ。 ただし、スーツが似合わない男もいる。似合わない原因の一番は「猫背」だ。猫背がスーツを着ると頼りがいがなく、もう絶望的にダメだ。ぜひスーツが似合う男性になろうと思う。

猫背はスーツが似合わない

スーツが似合う男性に憧れる。やはり単純にカッコいいのだ。スーツを着た男性にトキメクと女性が言っているのを聞いたこともある。しかし、スーツは誰にでも似合うわけではない。たとえば私はもう全然スーツが似合わない。

スーツを着た男性には頼りがいのようなものを感じるのだけれど、私のスーツ姿からはそれを全く感じさせない。少しでも不味いことが起きると逃げる感じがする。全ては猫背のせいだ。だから私はモテないし、仕事も上手く行かないのだろう。

猫背を直す！

スポーツクラブの「ルネサンス」には、猫背を改善するプログラムがある。入会すると無料で猫背かどうかを測定してくれて、それを直す方法を教えてくれるらしい。私は約30年は猫背だ。果たして改善されるのだろうか。

トレーナーの山下さんと柳原さんに、直るんですか？　と真正面からの質問をする。「直りますよ！」と光り輝く答えをいただいた。

ただ私は痛いのと、大変なのは嫌だ。そのようなポリシーで生きている。自分で書いて思うが、猫背のようにひん曲がった性格だ。

猫背の改善は痛くもなく、大変でもないそうだ。だったら、やろうではないか。

ということで、太い棒（ストレッチポール）を使ったプログラムを始める。本来は動きやすい格好に着替えるのだけれど、ラクだというので、あえてスーツ姿でやらせてもらう。プログラム終了後すぐにカッコいいスーツ姿の私になるのだ。

気持ちがいい！

ポールの上に背骨を置き、手をばたつかせたり、伸ばしたりする。最初こそ釣り上げられた魚みたいな状態だったが、すぐに「あれ、気持ちがいいぞ」という感想がやってくる。普段伸ばすことのできなかった部分が伸びているような気がする。

運動自体は壁が薄い部屋でもできるような静かなもので、スーツでやっていても全然苦ではない。つまり激しい運動がゼロなのだ。これで治るの？　とも思うが、だんだんと肩や足などの可動域が広くなっているのが分かる。

トレーナーの方に話を聞くと、街で猫背の人を見ると「直したい！」と思うそうだ。そして、実際にここに来れば直るのだ。15分ほどのこのプログラムにより、ウソみたいに猫背が直った。信じられないが本当なのだ。30年の猫背が15分である。

猫背は治る

大人に「1＋1＝？」と問題を出すような簡単さだった。背筋がピンとしている。あんまりにもラクだったので、鏡に映る背筋が伸びた自分に驚く。もちろんこれは一時的なもので、週2回程度を4カ月間ほど行えばキチンと改善されるそうだ。この程度の運動でいいならラクだ。

スーツが似合う、と自分では思う。こんなに似合うなら広告代理店にでも就職すればよかった。大学時代に受けた時は落ちたけれど、これもスーツが似合わないからだったかもしれい。そう思うことで私の心は平和だ。今なら受かるかもしれない。落ちた時の言い訳がなくなるので受けないけれど。

猫背が直り、さらに肩も軽くなった。可動域が広くなっている。その様子が分かるのが実に面白い。人間の体はこんなにも素直に結果を出すとは知らなかった。私も素直に生きて行こうと思う。猫背同様にひん曲がった性格も少し直った気がした。