フリーウェイト 筋トレ「BIG3」ゴールドジム トレーナー加藤直之氏が解説 デッドリフト ベンチプレス スクワット
フリーランスコピーライター。在籍しているスポーツクラブでは、持病の痛風発作を恐れ、有酸素運動のマシンを中心にライトなトレーニングで汗を流しています。
ウェイトトレーニング初心者からボディビル大会で上位を争うエキスパートまで、筋トレを進めていくうえで中心となる3つのトレーニング、通称「BIG3」(デッドリフト・ベンチプレス・スクワット)。そのメリットとそれぞれの要点をゴールドジムトレーナーの加藤直之さんに解説してもらいました。
●スポーツクラブに通うすべての人にオススメしたい高効率のトレーニング
スポーツクラブに通うなかで、「筋トレをやってみたいが、メニューがいろいろあって何をやれば良いのかよく分からない」、または「いつものトレーニングでは効果を感じなくなってきた」と思っている方はいらっしゃいませんか?
そんな方々にぜひチャレンジしていただきたいのが、デッドリフト・ベンチプレス・スクワットという3種類のウェイトトレーニング、通称「BIG3」。
たった3種類ではありますが、全身の筋肉をバランスよく、効率よく鍛えることができる、ウェイトトレーニングの王道ともいえるメニューです。
ウェイトトレーニングと聞くと筋肉を付けて体を大きくしたい人向けというイメージがありますが、全身の筋肉量を増やすことによって基礎代謝を上げることができるため、実はダイエットにも効果的。もちろん、アスリートの人たちにとってはパフォーマンスの向上も期待でき、スポーツクラブに通うすべての人にオススメのトレーニングといえるでしょう。
●取り組む前の確認、準備
・フォームの確認
「BIG3」を行う上で重要となるのが正しいフォームで行うこと。間違ったフォームでのトレーニングは期待している効果が十分に引き出せないだけでなく、怪我や故障の発生にもつながるので、注意が必要です。
正しいフォームを身に付けるためには、まず何も持たない状態でやってみること。鏡を見ながらチェックしますが、可能であればトレーナーに見てもらうと良いでしょう。
何も持たない状態で正しく動けるようになったら、今度はウェイトを付けずにバーベルのシャフトだけを持って同じようにフォームを確認します。ここで正しい動きがブレずに続けてできるようであれば、一番軽いウェイトを取り付けて、同様にフォームをチェックしてみてください。
・トレーニングギアの準備
ウェイトトレーニングには、リストラップやトレーニングベルトなど様々なトレーニングギアが用意されています。トレーニングをより効率的に進めるとともに関節の保護にも役立つので、必ず使うようにしてください。
・ウェイトの取り扱いに注意
当然のことですが、ウェイトを足の上などに落とすと大怪我につながります。セットする際には落とさないよう、安全に十分注意して扱ってください。
●3種類共通のポイント
・重さの選定
使用するウェイトの重さは、正しい動きを続けて行うことのできる最大限の重量にします。まず一番軽いプレートから試し、取りつけるプレートの組み合わせを変えながら少しずつ重いものへしてゆき、同じ軌道、同じテンポで10回行える限界の重さを探してください。
●デッドリフト
デッドリフトは、床に置いたバーベルを体の前で引き上げる動作で、背面全体(ハムストリング、大殿筋、脊柱起立筋など)に効果のあるトレーニングです。
・セットポジション
バーベルを前にして立ち、脚は腰幅に開きます。バーベルとの距離はできるだけ近い方が良いですが、スネがシャフトに当たらないよう5cm程度空けるとよいでしょう。腕は肩幅よりも気持ち広げて、バーベルを持ち上げた際に脚に当たらないようにします。
・バーベルを握る
セットポジションをとったら、その延長で上体を自然に下げてシャフトを握ります。握り方は順手で、親指をシャフトに回したサムアラウンドグリップです。このとき、腰の位置が極端に高かったり低かったりしないように注意してください。この床にあるバーベルを握った状態のまま、頭を天井方向へ引き切ったところがスタートのポジションとなります。
・上げ下ろしの軌道と範囲
バーベルが垂直線上の軌道を描くように意識し、「きをつけ」の姿勢になるまで一定の速度で引き上げ、同じリズムを保ちながら元の位置まで同じ軌道で戻します。目安としては上げ下げともに2秒ずつ、1、2、1、2、と動きを止めず、丁寧に行うよう意識してください。呼吸は上げるときに吐き、下げるときに吸うようにします。
・意識するポイント
体幹をしっかり使えるよう、腹圧を上げて行うことが重要です。初心者にはイメージしにくいかもしれませんが、トレーニングベルトをきちんと装着し、動作に入る前にベルトを圧迫するようにお腹に力を入れ、その状態を保ちながら動作を進めてください。トレーニング効果を高めるとともに腰痛の予防にもなります。
・注意点
バーベルはできる限り体の近くで動かすようにすること。体から離れるほど腰を痛める危険が増し、本来意図していた効果も引き出すことができなくなります。
●ベンチプレス(バーベル)
ベンチプレスは、ベンチに仰向けになり、バーベルを持って垂直に上下させる動作で、上半身(大胸筋、上腕三頭筋など)に効果のあるトレーニングです。
・ラックのセッティング
まず、トレーニングに入る前にバーベルを置くバーベルラックと、バーベルを上げられなくなったり落としてしまったときに自身に当たらないよう保護してくれるセーフティラックの高さを調整します。
バーベルラックの高さですが、ベンチに仰向けになり、腕を天井方向に垂直に伸ばした状態で、肘から手首の間のちょうど中央にバーベルのシャフトが来る位置が目安となります。
セーフティラックの高さは、同じくベンチに仰向けになり、トレーニングを行うときの胸を反らした状態で、胸よりもやや低い位置(バーベルを下げきった位置よりも低いが、胸の反りを解いたときには体に当たらない高さ)にします。
・セットポジション
ラックにバーベルを乗せた状態で、目から鼻のあたりにバーベルのシャフトが来るようにベンチに仰向けになり、肩甲骨を内側に寄せて胸を張って背中がアーチ状になるようにします。足のポジションですが、お尻をベンチから浮かさずに足の裏全面を床に着けながらも、できる限り頭側へ寄せ、踏ん張れる位置にします。
・バーベルの握り方
バーベルを握る位置は、バーベルを下げたときに肘が直角になるところ、シャフトにある81cmラインに人さし指から小指のどこかの指がかかっている範囲が目安となります。
握り方は順手で、初心者はサムアラウンドグリップで握るようにしましょう。
手首はシャフトの真下に来るようにし、意識して立たせたり寝かせたりせず、力を抜いたときの自然な角度で、バーベルの重さが垂直に乗るようにします。
・上げ下ろしの軌道と範囲
バーベルが垂直線上を往復するようなイメージで、下げるときはシャフトが胸に着くまで、上げるときは肘が伸びるまで動かします。速さはの目安は上げ下げともに2秒ずつ、途中で止めることなく一定のテンポで行いましょう。呼吸は上げるときに吐き、下げるときに吸うようにします。
・意識するポイント
トレーニング開始から終了まで、胸を張って背中がアーチ状になった姿勢を崩さないことが大切です。
・注意点
トレーニング中、バーベルを落としてしまうと大事故となります。万が一に備えてセーフティラックの設定は確実に行ってください。
●スクワット(バーベル)
スクワットは、バーベルを肩に担いだ状態で、しゃがんでは立つ動作を繰り返す運動で、脚部全般(大腿四頭筋、ハムストリングなど)や大殿筋、体幹部に効果のあるトレーニングです。
・ラックのセッティング
ベンチプレスと同様に、まずバーベルラックとセーフティラックの高さを調整します。
バーベルラックの高さは、トレーニング時にバーベルを担ぐことになる部位(首の付け根から3cm下の位置)よりもやや下になるようにセットします。
セーフティラックは、しゃがんで立てなくなった際にバーベルが置ける(放りだせる)ようにするもので、しゃがみきったときにバーベルのシャフトがギリギリ当たらない高さに設定しましょう。
・セットポジション
ラックに置いたバーベルをくぐり、首の付け根から3cm下あたりの位置を目安に安定してシャフトが乗るようにバーベルを担ぎます。バーベルを握る位置については、左右均等であれば自分のやりやすいところで構いません。手首の角度は、意識して立たせたり寝かせたりせず、力を抜いたときの自然な角度になるようにしましょう。足の位置は腰幅から腰幅よりもやや広めにし、腹圧をかけて両足で踏ん張るように立ちあがり、1、2歩後ろに下がってスタートします。
・屈伸の深さ
バーベルが垂直線上を上下するような意識で、しゃがむ、立つ動作を繰り返し行います。しゃがむ際は膝よりもヒップジョイント(股関節)が下の位置で、しゃがみきる手前まで、立つ際は膝が伸びきるまでが範囲です。動きを止めることなく、2秒でしゃがみ、2秒で立つように、リズムを一定にコントロールするようにし、呼吸は立つときに吐き、しゃがむときに吸うようにしましょう。
・意識するポイント
しゃがむ深さが浅くならないよう毎回一定に保つことと、腰を守るためにも腹圧を終始掛けながら行うことが大切です。
・注意点
内膝になると狙いどおりの効果が出ないので、つま先と膝の向きが必ず同じ方向になるようにして行ってください。また、上体を倒しすぎると腰に負担がかかってしまうので、注意しましょう。
●理想的なトレーニングの頻度
初心者の場合、3種類のトレーニングはすべて同じ日に行い、回復のために2日開けて、また3種類同じに日行うといったサイクルで進めていきましょう。トレーニングを分散させるのは回復が追い付かなくなってからで構いません。
「BIG3」は、何よりも継続することが大事です。2ヶ月~3ヶ月と、短期間で効果が実感できるトレーニングなので、まずは3ヶ月続けてみてください。体に表れる変化がきっと新たなモチベーションを生んでくれるでしょう。
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